科学? 迷信?「悪い食べ合わせ」のウソ・ホント
薬食同源の国から伝わった考え
「ウナギと梅干し」「天ぷらとスイカ」などは昔から「食べ合わせ」が悪いと言われています。ところで「食べ合わせ」って何でしょう? 本当に意味があるんでしょうか?
合食禁(食べ合わせ。食合禁とも)は、もともと薬食同源の本場・中国から日本に伝わった考え方。基本的には、相互に作用し健康に何らかの害を及ぼすといわれる食べ物の組み合わせのことです。1578年に明朝の医学者・李時珍が書いた「本草綱目」や、貝原益軒による江戸時代の健康指南書「養生訓」など多くの書物に禁忌として紹介されました。
合食禁の根拠は、漢方で用いられる陰陽五行説に基づく食材同士の相性や、食あたりを防ぐ知恵、過食やぜいたくの戒めなどさまざま。必ずしも科学的な根拠があるわけではありません。明治に出版された一般教養の本「通俗萬寶全書」では、こうした合食禁について「なるべく慎むのが安全」としながらも「古い書物で言い伝えられているもので人や量によって多少の差異はり、真偽の程も保証できない」とただし書きを入れています。
普通に食べるなら特に気にする必要なし!
ここで代表的な合食禁を見てみましょう。
・ウナギと梅干し
梅干しの酸味が胃液の分泌を促し、ウナギの脂の消化を助けてくれるのでむしろ相性がいいといえます。梅干しで食が進み、高価なウナギをつい食べすぎてしまうのを避けるため、という説もこれが基になっているのかも。
・天ぷらとスイカ
冷たいスイカを食べると胃腸が冷えて働きが悪くなり、また水分で胃液が薄まるため油っぽい天ぷらと一緒に食べると消化に悪いと考えられたようです。お腹の弱い人以外は大量に食べなければ問題ありません。
・カニと柿
カニも柿も薬膳の世界では「寒涼」の性質を持ち、一緒に食べると体を冷やしすぎると考えられたようです。また流通が未発達だった昔、離れた場所で取れたもの同士を避け腐敗による食中毒を防ぐ意味があったのでは、ともいわれています。
・ナスとそば
ナスもそばも体を冷やすとされています。そばは昔から「微寒」「蕎麦そば食ったら 腹あぶれ(そばを食べた後は風呂に入って腹を温めろ)」などと言われるほど。ただしこれは冷たいそばの話なので、温かくして食べればいいだけです。
いずれも大量に食べるならともかく、普段の食事程度なら特段気にする必要はないようです。どんな食べ物であっても、その組み合わせに関わらず食べ過ぎれば体に「毒」なのは言うまでもありません。
※数値やデータ、用語は執筆時点のものであり、常に最新であることを保証するものではありません。
※記事中のURLはリンク切れになっている場合がありますのでご了承ください。
※その他の免責事項に関しては当サイトショッピングページの個人情報保護ポリシーをご覧ください。